「EV = 静かすぎて危険」は本当か?――約4000億kmの英国走行データが示す、事故率「ガソリン車とほぼ同水準」という結果
EVは歩行者に危険なのか。英国全土の走行データ約2500億マイルを分析した最新研究は、EVと従来車の死傷率がほぼ同水準であることを示した。事故率「2倍説」を揺るがす数値が、EV安全論争を再整理する。
新型EVと先進運転支援の影響

リーズ大学交通研究所と化学プロセス工学部に所属するジア・ワドゥード氏は、今回の研究結果を通じて、EVの安全性をめぐる誤解が和らぐことを期待していると語っている。
同氏は論文のなかで、今回の分析が持つ意味について次のように述べている。
「これらの調査結果は、EVが地球に優しいだけでなく、道路を走る現在のガソリン車やディーゼル車と比べて歩行者へのリスクは大きくないということを示し国民や政策立案者を安心させることができることを示唆しています」
ワドゥード氏は、この結果を説明する要因のひとつとして、現在普及しているEVの多くが比較的新しい高価格帯のモデルである点を挙げる。そうした車両では、先進運転支援システム(ADAS)を備えている割合が高く、衝突回避や被害軽減につながっている可能性があるという。
一方で、EVはバッテリーパックを搭載するため、同クラスの内燃機関車と比べて200kg前後重くなるとされてきた。この重量増が、歩行者に深刻な傷害を与えやすいのではないかという懸念も根強かった。
ただ、今回の研究では、EVが関与した事故で傷害がより重くなると示す統計的な裏付けは確認されていない。ここには、車両接近通報システムの搭載が義務化されたことも、一定の影響を及ぼしているように見える。