「EV = 静かすぎて危険」は本当か?――約4000億kmの英国走行データが示す、事故率「ガソリン車とほぼ同水準」という結果

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EVは歩行者に危険なのか。英国全土の走行データ約2500億マイルを分析した最新研究は、EVと従来車の死傷率がほぼ同水準であることを示した。事故率「2倍説」を揺るがす数値が、EV安全論争を再整理する。

英国全土データから見えた別の景色

2025年12月25日発表。電気自動車(BEV/PHV/FCV)のシェア(画像:マークラインズ)
2025年12月25日発表。電気自動車(BEV/PHV/FCV)のシェア(画像:マークラインズ)

 やはりEVは、歩行者にとってより危険な存在なのか――。この疑問は、事故率をめぐる先行研究が紹介されるたびに浮かび上がってくる。

 もっとも、直近の研究はやや異なる景色を示している。現在流通しているEVについては、歩行者に対して特段の危険性を示さない可能性がある、という見方だ。

 英リーズ大学のジア・ワドゥード氏が2025年12月に学術誌「Nature Communications」で発表した研究では、EVと従来型の車両の間で、歩行者の死傷率に目立った差は確認されなかったと報告されている。対象としたのは

「英国全土の交通データ」

であり、特定の地域や条件に限定した分析ではない。

 研究によれば、英国では自動車が年間およそ2500億マイル、距離にして約4023億km走行している。2019年から2023年までのデータを基に、走行距離10億マイルあたりの平均的な歩行者死傷率を算出すると、

・EV:57.8
・EV以外の車両:58.9

となった。数値の差はきわめて小さい。

 同じ期間に、乗用車やタクシー、ハイヤーとの衝突によって負傷、あるいは命を落とした歩行者は7万1979人に上る。このうち、HVによる死傷者は5303人で全体の7.36%を占め、EVによるものは996人、割合にして1.38%だった。残る6万5680人、約9割は従来型の車両との事故による。

 表面的に見れば、EVと従来型車両では死傷者数に大きな開きがある。ただし、実際の走行距離や道路上に存在する車両の量を踏まえると、歩行者の死傷率はほぼ同じ水準に収れんしている。少なくともこの研究の範囲では、

「EVだけを特別視する根拠は見いだしにくい」

という結論に落ち着く。

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