私鉄vsJR西日本 4月デビュー「あをによし」は因縁の関西鉄道戦争を制することができるか?

キーワード :
, , ,
近鉄の「19200系あをによし」が2022年4月29日にデビューした。乗客の視点にたった車両づくりが特徴的だ。

2023年4月1日に運賃値上げの予定

京都―祝園・新祝園間も近鉄の独壇場で、JR西日本奈良線と片町線を乗り継いで祝園へ向かう人はほとんどいない(画像:岸田法眼)
京都―祝園・新祝園間も近鉄の独壇場で、JR西日本奈良線と片町線を乗り継いで祝園へ向かう人はほとんどいない(画像:岸田法眼)

 近鉄はできるだけ安く、快適な輸送サービスを図るため、特急形、一般形に関係なく、ベテラン車両のリニューアルで寿命を延ばして、特急券は紙のきっぷを発行してコストを抑えている。さらにバリアフリーの充実、防災対策などを行い、経営努力や健全な鉄道運営を続けている。

 しかし、少子高齢化に加え、新型コロナウイルスが強い打撃を受け、利用客が減少したことから、2023年4月1日に運賃の値上げを予定している。これに伴い、京都~近鉄奈良間は640円から760円、大阪難波~近鉄奈良間は570円から680円、鶴橋~近鉄奈良間は500円から590円に上がる。大幅な値上げながら、いずれの区間もJR西日本の現行運賃を上回っていない。

 ただ、京都~近鉄奈良間はJR西日本との差がわずか10円に縮まることで、乗客がみやこ路快速に流れてしまう恐れがある。運賃値上げを機に往復割引乗車券の発売など、顧客流出を防ぐ策を検討してもよいのではないか。

 奈良県の荒井正吾知事は、近鉄の運賃値上げに強い不快感を示している。荒井知事は日頃から鉄道そのものを利用しているのだろうか。公用車を使っているようでは説得力がまったくない。

 荒井知事がすべきことは、近鉄と連携して

・奈良県の観光客を増やす
・県内の近鉄沿線が“ついのすみか”になるような町づくりに努める

ことだ。敢えて苦言を呈したい。

全てのコメントを見る