私鉄vsJR西日本 4月デビュー「あをによし」は因縁の関西鉄道戦争を制することができるか?

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近鉄の「19200系あをによし」が2022年4月29日にデビューした。乗客の視点にたった車両づくりが特徴的だ。

利便性は近鉄優位に変わりない

JR西日本の大和路快速(画像:岸田法眼)
JR西日本の大和路快速(画像:岸田法眼)

 JR西日本も同業他社をかなり意識していると思うが、京都・大阪~奈良間は近鉄の利便性が高い。

 まず、京都~奈良・近鉄奈良間を比較すると、JR西日本は30分間隔のみやこ路快速が頼みの綱に対し、近鉄の特急と急行は「近鉄奈良行き」と「橿原神宮前行き」が中心。後者は途中の大和西大寺で近鉄奈良行きの列車に乗り換えられる。また、急行の一部は京都市営地下鉄烏丸線に直通しており、四条などの京都市中心部から近鉄奈良へダイレクトで結ぶ。

 次にJR西日本大阪~奈良間、近鉄大阪難波~近鉄奈良間を比較してみよう。

 JR西日本は大和路快速が日中15分間隔、所要時間は約50分、運賃810円に対し、近鉄の快速急行と急行は日中約10分間隔、所要時間は約40分、運賃570円で、近鉄が安くて早い。通勤時間帯に運転される特急の特急料金は520円(車両とその座席によって料金が異なる)で、割高感がない。

 特筆すべきなのは近鉄とJR西日本が交わる鶴橋~奈良・近鉄奈良間は、その差が歴然としていることだ。

 近鉄の快速急行と急行は所要時間約30分、運賃500円に対し、JR西日本は大阪環状線の各駅停車に乗り、天王寺で関西本線の大和路快速に乗り換えると、所要時間約45分、運賃730円。現時点、JR西日本が転換クロスシート、トイレつきの221系を大和路快速、みやこ路快速に充てても、近鉄の利便性が揺らぐことはない。観光客や旅行客の多くは、一般列車の座席を気にしないだろう。

 したがって、大阪から奈良、京都から奈良への利便性は依然として近鉄が高い。

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