タクシー「乗り逃げ」されたら、運転手はいくら負担しなきゃいけない? 最も多い被害額と手口とは

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タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は「乗り逃げ被害」について。

運転手が警戒する「疑わしきケース」

街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)

 アパートやマンションなど、集合住宅に金を取りに行くというケースは“ドロン”が多いのでおのずと警戒する。

 ほかに気を付けなければならないのは、「コンビニでお金をおろしてくるからちょっと待ってて」というものだ。店の中まで付いていかなければ、かなりの確率でドロンされる。同僚運転手にも、このやり口が多いと聞く。

 また、1万円以上になる長距離のお客さんも、ありがたい一方で大変に申し訳ないが警戒心も一定持つ。行き先を次々と変更するのも要注意だ。

 筆者の経験だけで言えば、若い男性や女性に乗り逃げされるケースが多かった。同僚は、都内から箱根まで、若いカップルのロング客にトイレでドロンされている。

 朝の早い時間帯、運転手の釣り銭が少ない事情を知っていて、短距離、両替のできない場所で1万円札をポンと出して、運賃をチャラにする手口もある。

 いずれにしても、タクシーは乗り逃げを完全に防ぐことは難しい。見知らぬ他人同士でのお金のやり取りだし、ある程度疑ってかかる必要があることをご容赦いただきたい。

 業界の監督機関である東京タクシーセンターでは、乗客の乗り逃げについての統計は取っていない。なぜなのかを不思議に思い、担当者に尋ねると「警察が担当になるから」とのことだった。

 さかのぼれば江戸時代の昔から「篭(かご)ぬけ」はよくあった。不届き者は古今東西世にはばかるということか。

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