ドイツの苦悩とCO2 90%削減の妥協 「エンジン死守」に動いた自動車大国の政治力【短期連載】「2035年エンジン車禁止」という幻影(2)

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2035年エンジン車禁止を掲げたEUが、100%削減から90%削減へ方針転換した。主導したのはドイツだ。BEV販売の失速、VWの3.5万人削減など産業と雇用の現実が、環境規制の前提を揺さぶっている。

ドイツが主導した土壇場の修正

EU本部(画像:Pexels)
EU本部(画像:Pexels)

 2021年に掲げられた「2035年エンジン車販売禁止」という野心的な目標は世界を震撼させた。だが、わずか数年でその梯子ははずされた。2025年12月16日、 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会が発表した「35年以降のエンジン車容認」という事実上の撤回案。これは、理想に燃えた欧州が現実の前に折れた歴史的転換点といえる。中国製EVの猛追と、自国メーカーの悲鳴、そしてエネルギー安保の崩壊。本短期連載では、この「EVシフト狂騒曲」を地政学、産業競争力、消費者心理の三つの視点から総括する。欧州の戦略的敗北と、あらためて評価されるトヨタのマルチパスウェイ戦略。インフラの壁や政治的妥協の先に、自動車産業が辿り着く脱炭素の新たな均衡点を探る。理想から現実への回帰を通じ、次なる競争の行方を占う。

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 EU理事会は2023年3月28日、乗用車および小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準を改正する規則案を正式に採択した。いわゆる「2035年エンジン車禁止」と呼ばれる政策である。

 改正案は同年2月14日に欧州議会を通過していた。3月上旬にはEU理事会でも採択される見通しだったが、最終判断は3月下旬まで持ち越された。決着が遅れた背景には、直前で立場を転じた

「ドイツ」

の動きがある。強力な産業ロビーを抱える同国が調整を主導し、最終局面で議論の流れを変えた。

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