なぜエンジンなしで「数百キロ」も飛べるのか? 大気と重力を味方にした「省エネ機体」の正体
グライダーは免許取得と機体費を合わせても数百万円で操縦可能で、エンジンなしで数百キロの長距離飛行も実現できる。空力設計と上昇気流の活用により、鳥のような自由な飛行体験を経済的に提供する航空機である。
飛行に働く基本力

動力飛行機は、推力が抗力に打ち勝つことで速度を維持する。一方、グライダーには推力がない。そのため、重力と空力効率によって滑空の方法が決まる。
グライダーは周囲の空気に対して緩やかに下降しながら前進する。高度という位置エネルギーを運動エネルギーに変換して飛行するのである。
グライダーの飛行原理を理解するには、飛行中の航空機に働く基本的な4つの力を知る必要がある。揚力は翼の周囲を流れる空気によって生じる上向きの力である。重力は機体の質量によって生じる下向きの力である。
抗力は空気抵抗によって進行方向と逆向きに働く力である。推力はエンジン搭載機で前進力を生む力である。グライダーはこの4つの力のうち、揚力、重力、抗力を主体に飛行する。