飛行時間の増加で疲弊する乗員・乗客 「ロシア上空回避」はいったいいつまで続くのか
ロシアによるウクライナへの武力侵攻は、旅客および貨物の発着便に多大な影響を及ぼしている。現在、多くの航空会社がロシア上空を迂回する飛行ルートに変更。飛行時間が長くなると、搭載できる貨物の量が減る。
欧州行き「南回り」に搭乗

飛行時間が増えると、乗客乗員ともに負担が間違いなく増える。
筆者は2022年4月、ヨーロッパへ向かうのに、KLMの大阪発アムステルダム行きに搭乗した。ソウル経由で合計17時間20分。ちなみに、以前のロシア上空を通過する直行便だと11~12時間だった。
大阪からソウルまでは約1時間半。この区間での機内はとてもすいていた。ソウルでいったん降機して保安検査を受け、約2時間の乗り継ぎ時間を経て再び搭乗。韓国人が多く、大型機のボーイング777-300ER(最大乗客数408人)がほぼ満席となった。
ソウル~アムステルダム間の所要時間は、約14時間。機内食は2回、その間に映画を見たり寝たりしてもまだ到着しないのは、やはり長い。満席のエコノミークラスだと相当辛い。ヨーロッパが遠くなったことを実感した。ちなみに、ソウル経由は乗員の勤務時間調整や給油などが、変更理由として表記されていた。
以前のロシア上空を飛行できた頃は、例えば、日本と北欧の間で直行便を運航するフィンエアーだと、最短9時間30分だった。「最もヨーロッパに近い航空会社」として当時、主に中高年の参加者が多い旅行会社のツアーなどで人気が高かった。
現在、フィンエアーは成田~ヘルシンキ線のみ運航し、所要時間は約13時間。成田以外の大阪、名古屋、福岡、札幌の各路線は2023年3月末までの欠航が決定済みだ。他社も含め、東京~ロンドン線、フランクフルト線のようなビジネス需要が高い路線以外は、しばらく厳しい状況が続きそうだ。