日本車を襲う「三重苦」の衝撃――トランプ政権「USMCA離脱示唆」で米国生産どうなる? 国内空洞化の行方とは【みずほリポート解説】
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2025年世界新車販売は前年比1.3%増の8910万台と堅調も、国内は454万台で縮小傾向。USMCA見直しや米国生産シフトが日本メーカーに巨大な戦略リスクを突きつける。
トランプの離脱示唆が意味するもの

世界的な需要動向をまとめると、2025年は増加傾向にあるが、2026年以降は伸びが鈍化する見通しだ。中期的にはインドなど新興国が市場をけん引する一方、国内市場は人口減少に伴い漸減し、国内空洞化の懸念が強まる。
USMCAは2026年7月の見直しが転換点となる。米政府に有利な条件に変更される可能性が高く、メキシコ生産が不利となり、米国への生産移管が強く迫られる事態も想定される。この場合、メキシコに進出している自動車メーカーだけでなく、サプライチェーン全体への影響も懸念される。ただし、規則の厳格化が一定程度にとどまれば、生産効率の向上などで対応できる可能性も残されている。
一方で、トランプ米大統領はUSMCAからの離脱を示唆している。カナダのCBC/Radio Canadaは、2025年12月5日に米ワシントンのケネディ・センターで行われた2026年FIFAワールドカップ抽選会で、トランプ大統領がカナダのカーニー首相やメキシコのシェインバウム大統領らと会談したと報じた。その場ではUSMCA見直しについて引き続き協力することで合意したが、今後はカナダとメキシコと個別交渉が進む見通しである。
この離脱示唆の背景には、トランプ氏が一貫して掲げる「米国第一主義」という国内政治的動機と、二国間交渉を好む彼の保護主義的な通商哲学が深く関わっている。この政策姿勢がもたらす予測不可能性こそが、自動車産業の巨大な投資とサプライチェーンの構築において最も深刻な経営リスクとなり、企業は従来の効率性を追求した「最適化」から、政策急変に対応できる「レジリエンス」の高い生産体制への転換を迫られる。 引き続き、3か国間によるUSMCA協議の行方を注視する必要がある。