トヨタ「逆輸入」に現実味――大本命はカムリ? 関税15%で揺れる国内セダン市場とは
筆者の意見

トヨタが米国から逆輸入するモデルの最有力候補はカムリである。理由は、日本市場の中型セダン空白を埋める唯一の即戦力である点だ。長年、中型セダンのフラッグシップを担ってきたクラウンは1955(昭和30)年に誕生し、2025年で70周年を迎える。しかし近年はセダンのボディが大型化し、クロスオーバーやスポーツ、エステートなど多様なラインナップが加わった。その結果、クラウンに代わるセダン需要の受け皿は不在となった。
カムリは1980年にセリカ・カリーナの姉妹モデルとして初代が発売された。2023年のフルモデルチェンジを契機に国内販売は終了し、北米向けの国内生産も終了した。それ以降は海外専売車となっている。過去に日本で販売実績があるため、一部ユーザー層に浸透しており、再販時のメリットになる。
カムリの価格帯は国産Dセグメントの代替に収まると想定される。米国での販売価格は約3万ドル(約450万円)であることから、日本では
「500万円台」
になると見込まれる。クラウンの600~800万円より下で、輸入プレミアムセダンよりも手頃だ。セダンの空白帯にぴったり収まる価格設定といえる。
輸入車に付きまとう左ハンドル問題も、致命的な障害にはならない。輸入車全体に占める左ハンドルの割合は10%以下だ。かつては希少価値として受け入れられたが、近年は利便性の観点から敬遠される傾向がある。それでも都市圏を中心に一定の受容層は存在する。特に50~60代の中高年層は米国車文化や大排気量セダンへの郷愁が強く、左ハンドルでもターゲットになり得る。
トヨタにとってカムリは、国内でのブランド再構築に寄与するモデルとなる。ラインナップからセダンを減らしすぎた結果、
「スポーツタイプ多目的車(SUV)偏重」
が進み、バランスを欠いている。カムリの再投入はセダン文化の再インフラ化として機能し、ラインナップの厚みを取り戻す手段となり得る。
販売方法は限定台数の受注生産方式で、まずニッチ市場でのテストケースとするのが望ましい。そのためには、逆輸入車専用のアフターサービス体制を整備し、左ハンドル車の事故や補償制度を先行して整理する必要がある。こうした慎重な実験的導入が、最適解である。