日産の技術は正しい! 復活のカギは「日本らしさ」か?──EVとProPILOTが描く、安全・快適・心地よい移動体験とは【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(7)

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日産はEVやe-POWER、自動運転で技術の先端を走る。しかし北米・欧州の販売は縮小し、収益構造は揺らぐ。理念と現実の乖離を正面から見据え、軽EV「サクラ」やSUV「アリア」を軸に、量から質への転換とブランド再翻訳に挑む戦略が始まった。

量から質への転換

日産・イヴァンエスピノーサ社長(画像:日産自動車)
日産・イヴァンエスピノーサ社長(画像:日産自動車)

 日産はいま、報われない状況に正面から向き合っている。EV投資の採算悪化と需要減速を受け、現実路線へ舵を切った。北米ではハイブリッドの拡充とモデル刷新を最優先課題に据え、アルティマ、ローグ、パスファインダーなど主力車種の刷新を進めている。

 生産面ではメキシコを軸に柔軟なガソリン・HV対応体制を整え、国内では九州を主力拠点に再編した。追浜は技術開発と試験車両の拠点に特化する。EVは「サクラ」と「アリア」を中心に小型車や高級スポーツタイプ多目的車(SUV)領域へ絞り、収益性を重視した選択と集中を進める。

 日本でもノートやキックスなど売れ筋モデルを高価格帯へ移行した。軽EV「サクラ」の成功を踏まえ、EVは小型車やSUVに絞る方針だ。この「量から質への転換」により、日産は収益構造を立て直し、理念と現実の両立を目指す再出発を図っている。

 しかし、工場最適化もモデル刷新も、理念を市場に浸透させられるかがカギとなる。この

「伝える力」

こそ日産の構造的弱点である。技術が正しくても、車が暮らしに与えるイメージを描けなければ心に届かない。誠実なものづくりが感情的魅力に転化せず、派手さを避ける戦略は存在感の薄さと誤解される。

 日産は常に時代を先取りしてきた。電子制御4WD「アテーサE-TS」、量産CVT、量産EV「リーフ」──いずれも先進的だった。しかし市場が理解する前に登場したため、成果に結びつきにくかった。CVTは燃費を改善したが「滑る」と違和感をもたれ、リーフはインフラ不足で「制約の多い車」と見られた。e-POWERも

「なぜEVではないのか」

と誤解された。正しい技術が時代文脈に翻訳されず成果にならない構造を、日産は繰り返してきた。

 技術の正しさを人の心に伝える翻訳力こそ、経営成果を左右する。理念を語ることで感情を動かす時代において、課題はそこにある。

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