日産の技術は正しい! 復活のカギは「日本らしさ」か?──EVとProPILOTが描く、安全・快適・心地よい移動体験とは【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(7)

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日産はEVやe-POWER、自動運転で技術の先端を走る。しかし北米・欧州の販売は縮小し、収益構造は揺らぐ。理念と現実の乖離を正面から見据え、軽EV「サクラ」やSUV「アリア」を軸に、量から質への転換とブランド再翻訳に挑む戦略が始まった。

報われない誠実なジレンマ

日産イメージ(画像:Pexels)
日産イメージ(画像:Pexels)

 かつて世界を席巻した日産は、今また大きな岐路に立っている。EVシフトの遅れ、米中市場での苦戦、巨額赤字――逆風は強い。しかし新型リーフやマイクラEVの投入、ハイブリッド戦略、生産体制の再構築など、未来への挑戦は止まらない。 本リレー連載「頑張っちゃえ NISSAN」では、厳しい現実と並走しながらも改革を進める日産の姿を考える。

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 日産の技術は正しい。しかし、報われていない。電気自動車(EV)やe-POWER、自動運転はいずれも時代の方向性に沿う。しかし販売シェアは縮小し、ブランドの勢いも失われつつある。

 この矛盾は「正しさ」と「報われなさ」の間にある。ここでいう「正しさ」とは、利益を追うことではなく、

「車とは何か」

という問いに誠実に答えることだ。車は安全で安心、経済的で快適、誰もが扱える存在であるべき。日産はその原点に向き合って技術を磨いてきた。常に目指すのは、生活の合理性だ。

 自動運転「ProPILOT」は、運転技術や体力に左右されず、安全で疲れない移動を現実のものにした。EV「リーフ」は家庭にも街にも役立ち、燃料費のいらない暮らしを提示した。e-POWERはモーター走行の快適さを広める現実的な橋渡しとなった。いずれも「誰もが安全で快適、経済的に移動できる社会」を示す技術だ。

 しかし日産は歴史的に先を読みすぎる傾向がある。長期ビジョンを追うあまり、市場トレンドからずれ、収益を犠牲にすることも少なくない。現在、北米や欧州ではEV需要が鈍化し、ハイブリッド対応やモデル刷新の遅れもあり、販売基盤は弱まっている。

 理念と現実の乖離。それが日産の苦悩だ。正しい方向に進みながら、タイミングを逸する。未来志向の誠実さが、報われなさに変わる瞬間である。

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