率直に問う なぜSuicaの「ペンギン」は25年間も愛されたのか?
JR東日本の交通系ICカード「Suica」の象徴、ペンギンが2026年度末で卒業する。2001年のサービス開始から25年、利用者1億2千万枚超の発行を支え、駅ナカ経済やキャッシュレス普及を後押しした存在が静かに役目を終える。便利さだけでなく心の余白を提供したペンギンの卒業は、デジタル化と効率重視の時代への転換を象徴する。
「なぜペンギン?」──選ばれた背景

Suicaの名前は
・Super
・Urban
・Intelligent
・Card
の頭文字から取られている(高度な都市型インテリジェントカード)。この名称のもとで採用されたのが、坂崎千春氏の絵本『ペンギンゴコロ』(1998年)に登場するペンギンだった。
当時、Suicaは新しい交通システムとして未知の存在だった。
「誰も知らない」
「既存のものとは違うサービス」
という状況で、果実のスイカを知らないペンギンが象徴として選ばれた(『IT-PLUS』2006年6月17日配信)。絵本的な物語は、ICカードという言葉にまだ馴染みのなかった人々の心を掴んだ。
この「非言語コミュニケーション」の設計が、Suicaの普及を後押しした。2001年の利用開始からわずか3年で利用者は1000万人を突破し、現在は「モバイルSuica」を含めて発行総数1億2000万枚を超える。ITや金融の無機質な技術に生命感を与えた点で、ペンギンは日本のキャラクターデザイン史における金字塔といえるだろう。