北陸道「全線開通30年」 15兆円効果の裏で進む「老朽化」「ストロー現象」――地域流出は止められるか?
北陸道は全線開通から30年で約15兆円の経済効果を生み、沿道5県の産業や観光を支えてきた。能登地震では救援の生命線となり、災害対応力の重要性を示した。一方で老朽化や地域格差、「ストロー現象」といった課題も顕在化。更新投資と地域連携により、次の30年に向けた“持続する高速インフラ”への転換が問われている。
老朽化と地域格差の課題

北陸道は全線開通から30年を経て、重要な社会基盤として機能している一方、道路や施設の老朽化という課題に直面している。初区間の開通は1972年10月であり、最初の区間から数えると50年以上が経過することになる。そのため、橋梁やトンネルなどの大規模補修・更新が不可欠になっている。
石川県の小松IC~美川ICにある手取川橋は、設置から50年以上が経過し、海岸沿いという立地条件もあって塩害による劣化が進んでいる。床板や橋げたを含む大規模リニューアル工事が必要となっている。また、新潟県の柿崎IC~米山ICの米山トンネルでは、安全性向上のため、全国初となる矢板工法のインバート設置工事が行われた。
北陸道沿道の都市部は経済波及効果を享受して発展しているが、山間部や高速道路から遠い地域では恩恵が薄く、地域間格差の課題が残る。さらに北陸新幹線の延伸により首都圏とのアクセスが向上した結果、優秀な人材や企業が都市圏に流出する
「ストロー現象」
が懸念される。地方経済の力を維持するためには、こうした人口・企業の流出を抑える施策も必要だ。
能登地震では、北陸道が迅速な救援活動を支えた一方で、他の道路網の遮断が明らかになり、緊急時の代替ルートの不足が浮き彫りとなった。今後は、老朽化対策とともに、災害時に複数ルートが確保される道路ネットワークの整備も重要な課題である。