「若者のクルマ離れ」に終止符? “新車おじさん”が支えたトヨタ86、中古市場で若者に広がる現実
2012年登場のトヨタ86/スバルBRZは、軽量FRスポーツの復権を象徴。発売から13年、初期型は100万円台で購入可能となり、若者の現実的な憧れと中古市場を介した新たな自動車文化をつなぐ存在となった。
若者開放のスポーツ文化

発売から13年が経過した2025年、初期型86は中古車市場で価格が落ち着き、100万円台以下の個体も登場している。新車時の半額以下まで下がった価格は、アルバイトや初任給でも現実的に手が届く水準であり、若者が「夢のスポーツカー」に触れる入口として注目されている。
中古市場データを見ると、年式によって相場は明確に変動している。2012~2015年式の前期型は100~150万円前後、2016~2018年式の後期型は160~200万円前後、2019年以降の後期型は200~250万円前後が多い。都市部では特に前期型が人気で、週末のカーイベントやSNSでの投稿でも頻繁に見かけられる。また、色やグレードによっても需要の差があり、白や黒の人気が高く、MT車を好む傾向も顕著である。
筆者(紀下ナオキ、自動車ライター)自身、10代の頃には“高嶺の花”であった86が、今や学生や20代社会人でも購入可能な現実的な選択肢として街中を走る光景を見ると、時代の変化を実感する。中古価格がこなれたことで、スポーツカー文化は再び若い世代に開放されつつある。新車購入が難しかった世代も、走る歓びやカスタム文化への参加を楽しめる環境が整ったのである。
この「中古市場を介した文化の循環」は、単なる価格低下以上の意味を持つ。若者は新車ではなく中古車を通じて、運転の楽しさやカーライフの喜びに触れ、SNSやイベントを通じて仲間と共有することで、新しい自動車文化を形成している。86を中心としたコミュニティの芽生えは、次世代にスポーツカー文化をつなぐ土壌となるのだ。