国際物流事業は好調も 日立が「日立物流」を売却するワケ

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日立物流の売却方針が注目を集めている。同社の社会構造の変化を見据えた組織再編の方針が背景にあると筆者。IT事業を核とした企業への転換が目指されているという。

日立製作所は株式30%を売却

日立物流のウェブサイト(画像:日立物流)
日立物流のウェブサイト(画像:日立物流)

 2022年4月28日に発表された、日立グループに属する日立物流の売却方針が注目を集めている。同社3月期決算の営業利益は国際物流事業が押し上げ、386億円(前期比5%増)と好調だ。売却する背景には、一体なにがあるのか。

 日立製作所が日立物流の株式を米投資ファンドKKRに売却する方針であると報じられたのは、4月21日のことだ。翌22日には『日本経済新聞』が1面で報じたこともあり、株式市場もすぐに反応を示した。

 同社は22日、『日本経済新聞』の記事について「当社として発表したものではない」とのコメントを発表。一方で、東京証券取引所では報道の真偽に関する発表が行われていることを理由に、同社の株式売買を1次停止する動きも見られた。

 その後も相次ぐ売却報道を受けて、4月28日に日立製作所が株式30%を売却すると発表。KKR関連のHTSK社が1株8913円での株式公開買い付け(TOB)を実施。最終的に全株式の取得を目指すことが明らかになった。

 この一連の買収劇の背景にあるのが、日立製作所の社会構造の変化を見据えた組織再編の方針だ。

東証プライム上場の総合ロジスティクス企業

埼玉県春日部市にある日立物流の「ECプラットフォームセンター」(画像:(C)Google)
埼玉県春日部市にある日立物流の「ECプラットフォームセンター」(画像:(C)Google)

 投資ファンドに買収されることになった日立物流は日立グループに属し、東証プライムに上場している。

 元々はグループ内の物流部門を担っていたが、近年その役割は低下。現在は物流業務を主体として、アディダスジャパンやイオングループの物流・倉庫業務を請け負う総合ロジスティクス企業となっている。

 現在では、国内首位の3PL(物流業務の一括受託)事業者というのが同社の立ち位置で、2019年には埼玉県春日部市に「ECプラットフォームセンター」を建設。中小のEC事業者を対象にした事業も拡大している。

 多くの企業が自社配送ではなく、専門ノウハウを蓄積したロジスティクス企業を利用するほうが精度の高い物流管理を実現でき、コストも削減できると判断するなか、同社の業績は好調だった。