ハイウェイオアシスは「沿線」を本当に活性化できるのか? 25日「川口」オープンで再考する

キーワード :
, ,
「川口ハイウェイオアシス」が4月25日、首都高川口線にオープンした。建設省の事業名に由来しており、現在全国に23か所存在している。

かつては簡素だったサービスエリア

海道砂川市にある砂川ハイウェイオアシス(画像:国土地理院)
海道砂川市にある砂川ハイウェイオアシス(画像:国土地理院)

 例えば北海道砂川市では、1988(昭和63)年に当時の竹下登内閣が実施した「ふるさと創生一億円事業」を使って、道央自動車道の砂川サービスエリアに「砂川ハイウェイオアシス」を1992(平成4)年に開業している。これ以外にも1990年代前半には好景気の余波を受けて、後にハイウェイオアシスと呼ばれるサービスエリアのリニューアルが相次いでいる。

 それまで、高速道路のサービスエリアは

「トイレタイム」

のために立ち寄るものだった。

 そのため何の装飾もなく、わずかな売店と食堂くらいしかないのが当たり前だった。ところが1990年代に入ると、レジャー施設の併設を頂点に、施設周辺の公園化売店や食堂の充実化で、休憩所の機能を高める施策が各地で行われるようになった。

 とりわけ、

・三芳PA(関越自動車道、埼玉県三芳町)
・羽生SA(東北自動車道、埼玉県羽生市)
・談合坂SA(中央自動車道、山梨県上野原市)

のように、駐車場の拡充整備を実施してたところは多い。

 これらの登場は実際に高速道路沿線へ経済効果をもたらした。

街を一変させたハイウェイオアシス

「すながわスイートロード」(画像:砂川市)
「すながわスイートロード」(画像:砂川市)

 前述の砂川ハイウェイオアシスは成功例のひとつだ。もともと砂川市は、JRと国道12号線、道央自動車道が存在するものの、特段立ち寄ることのないエリアだった。しかし、砂川ハイウェイオアシスの登場はそんな状況を一変させた。

 高速道路を利用する客が途中に立ち寄るだけでなく、札幌市・旭川市・室蘭市からも目当ての観光客が訪れるようになった。開業当初は年間50万人程度と予測されていた利用者数は、1994(平成6)年度に100万人を突破している(『北海道新聞』1995年5月15日付朝刊)。

 砂川市では道央自動車道建設の際、インターチェンジ(IC)の建設を求めていた。しかし、周囲に滝川IC、奈井江砂川ICが存在することから建設が断念され、ハイウェイオアシスとなったという経緯がある。それが、こんなにもはやるとは関係者も想像しなかっただろう。

 現在の砂川市は、2015年にハイウェイオアシス駐車場から一般道への出入りができるスマートインターも開業。同市内に菓子店やカフェが多いことから「すながわスイートロード」と名付けられた通りが観光客を集めるなど、行楽地としての色合いが強い。その出発点に、ハイウェイオアシスのオープンがあったことは明らかだ。