フェラーリ初の4ドアは「迎合」か伝統回帰か? 75年の矜持と急成長SUV市場のせめぎ合い
世界のSUV市場は2033年に8328億ドル規模へ拡大が予測される。その巨大潮流に挑むべく、フェラーリは2022年に初の4ドア「プロサングエ」を投入した。市場への迎合か伝統の継承か――揺れるブランドの矜持を読み解く。
富裕層拡大が牽引するSUV需要の急伸

スーパーカーブランドが、伝統の低く流麗なフォルムを捨ててまでSUVを開発するのはなぜか。その理由は、近年の自動車市場で最も勢いのある分野、
「ラグジュアリーSUV市場」
の成長にある。2023年時点で1657億3000万ドル規模だったSUV市場は、2033年までに8328億8000万ドルに拡大すると予測される。年平均成長率は17.52%と驚異的だ。この拡大は、
・世界的な富裕層の増加
・車に快適性を求める消費者の変化
・技術進化
が後押ししている。
この巨大市場の扉を最初に開いたのは、ポルシェの「カイエン」だ。2002年に登場したこのモデルは、スポーツカーブランドがその本質を損なわずにSUV市場へ参入できることを示した歴史的な存在である。
発売当初は批判や失望の声も多かったが、いまやその評価は一変した。2024年にはポルシェの中で最も売れる車種となり、成功を疑う余地はない。
同じように注目すべきはランボルギーニの「ウルス」だ。2019年に登場したこのSUVは、3000万円を超える高価格にもかかわらず、初年度だけで4962台を販売した。その数字は2年前のランボルギーニ全体の販売台数に匹敵する。
現在ではブランド全体の約6割を占める主力となり、成功の要因には「欲しい人の数より1台少なく作る」という希少性を巧みに利用した戦略がある。